Antelope Audio Discrete 4 Synergy Coreのレビュー
目次
Antelope Audioとは?
Antelope Audio(アンテロープオーディオ)は、ブルガリアに本社のある会社さんで、オーディオ業界では、20年以上に渡りデジタルオーディオクロックやA/Dコンバータなどで経験のある会社さんです。
Igor Levin(イゴール レビン)さんの開発したクロック Aardvarkが音楽的な音になると評判になり、それが会社創立のきっかけになったそうです。
イゴールさんは、アンテロープオーディオ社のCEOを務められています。
Discrete 4 Synergy Coreの特徴・機能
コンソールグレードのマイクプリアンプによる録り音の良さ
Discrete 4 Synergy Coreの特徴は、何と言ってもAntelopeのクロック技術を使った高品位なマイクプリアンプ を搭載していることでしょう。
Discrete 4の名前の通り、4つのコンソールグレードのマイクプリアンプを備えています。
最近のオーディオインターフェースのマイクプリアンプ部なら、1万円台のものでも十分に良いと思うのですが、音を録音する際に、デジタルでありながら自然さを生み出すAntelopeのクロックを使ってとりこまれるところが大きなポイントだと思います。
FPGA FX
Antelope Audioと言えば、もう一つの特徴は、FPGA FXです。FPGA上に論理回路を組むことで有名なマイクプリアンプ、EQ、コンプなどの実機を再現しているというものです。
FPGA FXを使った感想としては、自然なかけ心地です。アウトボードを使ったとき、ぐいっとつまみを回しても、そんなにおかしな音にならないあの感じです。おそらくですが、FPGAの技術も良いのに加えて、Antelopeのクロックを使って音の処理がされることで自然な感じが出ているのではないかと思っています。
かかり具合の自然さと共に、1960年代、70年代のオールドな機材がラインナップされているところがオススメポイントです。ビートルズやZEPの時代に使われた機材を個人で利用できるのは嬉しいです。
Discrete 4(一つ前のモデル)と変わったところは何?
Discrete 4からSynergy Coreとなり、FPGAとDSPを組み合わせた開発が可能となっているそうです。
Auto-Tune Synergy、Chorus系のFPGA FXは、Synergy Coreでは購入できますが、Discrete 4 にはないことから、この辺が新しいものになるようです。
外観と設置した雰囲気
Discrete 4 Synergy Core の大きさは、横幅 26.1cm、奥行き 20.8cm、高さ 4.4cm。
机の上にギターアンプTH5と並べて置くとこんな感じです。
机の横幅は95cmなのですが、もう少し、あと10cmぐらい大きな机だったら、ノートパソコンを置いても余裕があっていいかなと思いました。
ドライバー・ソフトウェア
購入前、2020年4月ごろは、セットアップが上手くいかないなどの情報も見かけたのですが、いまではトラブルの書き込みを見かけなくなりました。
アンテロープジャパンさんのサイトに製品導入方法が丁寧に書かれていて、その通り進めたら、自分は全く問題なかったです。
MacBook Air 2012 mid。Mac OS 10.13.6。Thunderboltケーブル使用。
音は??
モニター・ヘッドホンの出音
いい。とてもクリアなスッキリとした音です。それぞれの音の分離が良くて、音と音の間の空気感が感じられます。・・・んんん、表現力不足。伝えられる表現が出て来たら書き直そう。お団子状態の音を解消したい人にはいいと思います。
RME UCXに比べて、より自然な感じに聞こえます。
自分のイメージですが、RME UCXは低い周波数から高い周波数まで、とても均等なマス目の測りを持っている感じです。そのマス目がとても均等なので低い周波数も高い周波数も同じぐらいの分量で聞こえる・見られるようにしてくれるような。どの周波数帯も均等に感じるので、悪くいうと平坦な感じにもなるみたいな。
Antelopeは、きちんとマス目はあるんだけれど、人間のように遊びがある感じで自然に聞こえるのかなと。音の波が行ったり来たりするように感じるのはAntelopeの方です。
初心者用のインターフェースからのアップグレードを考えている方で、平坦さより、山あり谷ありみたいな音を感じたいという人にはAntelopeはいいと思います。
録音
マイクを使った録音、直接ギター・ベースを接続した録音、ともに良い感じです。特にマイクを使った録音が楽しいです。上手い下手は関係なく、空気感を一緒に録音してくれるように感じます。
所有マイクは、Shure SM58、AT2035と初心者ものですが、それぞれの特性を出した音が録音されることに気づきました。
SM58は中域のガッツある感じの音が録れて、AT2035は和的な竹のような透明さのある音が録れました。マイク自体の良い悪いというより、それぞれのマイクの特徴を出して録音してくれるのがAntelopeを使って録音した時に面白い、楽しいと感じるところです。
Antelopeのモデリングマイクはそういう意味では、マイクの種類を増やすことができるので、色々な音を作ることができてさらに楽しいのかなと思っています。余裕ができたら購入したいです。
良いところ・悪いところ
・録音が楽しくなるところ。マイクの良さを引き出してくれるのが良い。外部音源シンセの音も録音してみたいなと思っています。
・購入するにはちょっと値が張るのがつらいところ。。。
まとめ
とにかくスッキリと綺麗な音のするAntelope Audio Discrete 4 Synergy Coreです。
現代的だけどアナログ感も感じられるので、生録好きな人、空気感のある音楽好きな人は、チェックしてはいかがでしょうか。
買う前に自分のオーディオファイルもAntelope通したら「音変わるか確かめたい〜」ってかたは、コメントなどからご連絡ください。趣味で音楽を楽しんでいるもの同士、助けられることがあれば助けたいので。
Antelope Audio Discrete 4 Synergy Core
おまけ
Antelope Audio CEO イゴールさんがクロックについて語っている動画
イゴールさんがクロックの開発、コンセプトについて語っている動画はこちら。どういう思いからこんな製品になるのか興味を惹かれてみちゃいました。日本語字幕でなんとなく雰囲気で理解したつもりになってます。
1000$バウチャーで購入したFPGA FX
私がSynergy Coreを購入した時、1000$バウチャーがついて来ました。バウチャーで購入したのはこちらです。
AFX2DAW | FPGA FXプラグイン化 |
RD47 | マイクプリアンプ |
VPA76 | マイクプリアンプ |
COMP-4K-BUS | コンプ |
Opto 2A | コンプ |
Alt-436C | コンプ |
MG4+ | EQ |
BAE-1073 | EQ |
Reel-To-Reel | テープ |
マイク録音時の音の変化を楽しめるようにと、マイクプリアンプから購入しました。
コンプからは、有名なOpto 2Aと、バスコンプとしてCOMP-4K-BUSを。Alt-436Cは見た感じが好きだったので。
EQも色々試したかったのですが、順番的に後回しになりました。EQからは新しそうなMG4+と、BAEのものを選びました。
そして、カセットMTR好きとして、テープ装置ははずせないなということでReel-To-Reelを選んでいます。
自分はどの機材も実機をさわったことがないので、一つずつさわってみています。
今まで、ほぼLogic Proに最初に入っているプラグインのみでミックスをしていました。Logic ProのEQやコンプは、色付けなく、音をそのまま編集する感じでした。FPGA FXの機材たちは、色付けがあって、積極的に音作りする面白さがありそうです。積極的な音作りにはまだまだ慣れていない私です。